アルツハイマー型認知症③
認知症もいろいろあります。
それぞれの認知症により、
症状も違います。
「ゆういち、生きとこうで。生きとけば、どげんでんなる。」
母と父の気配をすぐそこに感じながら 詩情豊かに描いた、老いとぼけと家族の物語。 デビュー作『ペコロスの母に会いに行く』(第42回日本漫画家協会賞優秀賞受賞)から約7年。 西日本新聞※、新潟日報※、東京新聞、北海道新聞で長期にわたり連載された 8コマ漫画「続・ペコロスの母に会いに行く」「ペコロスの陽だまりの時間」を再編集。(※は現在も連載中)
今回は
検査について
病院行ったらいっぱい検査しますよね?
「 なんでこんなにいっぱいしなきゃならんの?」
( ̄▽ ̄)
ごもっともです。
ワタシもそう思います。
検査と言ってもいろいろあり、
前のブログでも書きましたが、
あらゆる可能性を考えると
あらゆる検査をしないとわからないからです。
将来、カンタンにできればよいのですが、、。
① 認知機能、生活機能検査
② 画像検査
③ 内科一般検査
④ 放射線検査
⑤ 脳脊髄液検査
① 認知機能、生活機能検査
MMSE
( ミニメンタル・ステート検査 )
それぞれは、例です。
いろいろな質問があります。
設問は11種類あります。
見当識、
今年は何年ですか?
今日は何曜日ですか?
ここは何県ですか?
ここは何階ですか?など。
記銘力、
何か文章を書いてください。
計算力、
100から7引いていってください。
注意機能、
右手にこの紙を持ってください。
それを半分に折りたたんでください。
それを私に渡してください。
言語機能、
さくら、ねこ、でんしゃ
3回言ってください。覚えてください。
( 他のことをやったあと、)
先程覚えたものを3回言ってください。
物品呼称、
( 時計を見せて )コレは何ですか?
視空間機能など
つぎの図形をかいてください。
30点満点で、
24 < MCI
20〜26 軽症
10〜19 中等度
< 9 高度
ただし、厳密なものではない。
全体の得点だけでなく、失点の項目も重要。
設問3と5の
3単語再生課題は、
エピソード記憶のこと。
「 3単語再生課題 」
さくら、ねこ、でんしゃ
3回言ってください。
では、
これを覚えていてくださいね。
( 他のことをやったあと、)
先程覚えたものを3回言ってください。
アルツハイマーでは
これが答えられなくなる。
( ̄◇ ̄;)
物品呼称ができない場合、
「 意味性認知症 」
日常生活機能の判断は、
「 手段的ADL 」= I-ADL
電話をかける
買い物をする
金銭管理
公共乗物の利用
服薬管理
( 女性では )
料理する
洗濯する
掃除する
これ書いていて思ったのは、
( 女性では )ってところは
将来なくなるでしょう。
昔の人は、いわゆる「専業主婦 」が多く、
こういう判断になりますが、
今から高齢者になる人は
独身もいれば、専業主夫もいます。
時代の流れで変わっていくでしょう。
② 画像検査
CTとかMRIってやつです。
基本的に
CTは放射線を使いますので、診療放射線技師が行います。
当然、放射線被曝の可能性があります。
検査が短時間で済みます。
ちょっと解像度が良くないです。
CT :コンピュータ断層撮影
(コンピュータだんそうさつえい、computed tomography )
MRIは放射線を使いませんので、臨床検査技師がするところもあります。
放射線は使いませんので被曝しません。
検査に時間がかかります。( 20〜30分程度 )
CTより解像度が高いです。
脳の萎縮、
脳室拡大、
脳周囲の血管貯留、
脳梗塞、
脳出血、
脳腫瘍
などを検出します。
正常圧水頭症、硬膜下血腫の発見に活躍します。
アルツハイマー型認知症では
側頭葉内側の萎縮→側脳室下角が拡大
MRIには心臓ペースメーカーやステント留置、体内金属の有無を留意しなければなりません。
ステントとは?
人体の管状の部分(血管、気管、食道、十二指腸、大腸、胆道など)を管腔内部から広げる医療機器である。多くの場合、
金属でできた網目の筒状のもので、治療する部位に応じたものを用いる。
まあ、要するに
MRI:核磁気共鳴画像法
(かくじききょうめいがぞうほう、magnetic resonance imaging )
ですから、磁力を使うんですね。
だから、金属類が体の中にあると影響を受けるので、MRIが出来ないこともあります。
いろいろメリット、デメリットがあってめんどくさいですよねー。
( ̄▽ ̄)
VSRAD
(Voxel-based Specific Regional analysis system for Alzheimer's Disease)
MRIの画像を統計的に解析して、脳内海馬の萎縮を客観的評価できるソフト。
最近はVSRAD advance
なるものがあり、
灰白質、白質、脳脊髄液の分離精度が上がって、脳の位置精度が上がっている。
③ 内科一般検査
胸部X-P、心電図、採血などです。
脳梅毒、ビタミンB12や葉酸欠乏、甲状腺機能低下症なども認知症様症状があります。
腎機能低下の際のメマンチン投与により、傾眠傾向となります。BUN、クレアチニン測定によって投与を考慮します。
心電図はコリンエステラーゼ阻害薬の使用判断にします。徐脈傾向の心房細動、房室ブロック、2枝ブロックなど要注意です。
( ̄▽ ̄)
ココは臨床検査技師の分野ですね。
一個ずつ説明すると大変なことになりますので、
要は、認知症の症状は、
いろいろな理由があることと、
薬を与えて良いかの判断に
他の病気が合併していないか
が重要だということです。
また、別の機会に説明できればやります。
④ 放射線検査
SPECT(スペクト)
Single photon emission computed tomography(単一光子放射断層撮影)
認知症では、脳の血流分布を見る脳血流シンチグラフィーが使われます。血流低下を統計解析するソフトもあります。
e-ZIS
( easy Z-score imaging System )
患者の脳血流SPECT画像を標準脳に形態変換して画像統計解析するソフト。
3D-SSP
(3D Stereotactic Surface Projections)
血流低下や増加を正常者から求めたデータベースと比較して、統計学的に評価する
SPM
(Statistical Parametric Mapping )
各個人の脳を線型および非線型変換によって標準脳に合うように変形した後, 平滑化操作によって信号対雑音比を向上させ ることにより,脳機能局在の個人差をなくす。
CTやMRIに比べて、モヤモヤして分かりにくいSPECT画像を分かりやすくした。まだまだ開発が進んでいるようで、一番新しいのはe-ZIS。
脳が活動するのに血液がいるのは分かりますよね?
その血液の流れ = 血流を見るのに使われます。
血流が悪いところが脳機能が低下するところです。
PET(ペット)
Positron Emission Tomography
(陽電子放射断層撮影 )
通常、FDG-PETとしてがん診断に使われる。
※FDG-PET
ブドウ糖代謝を画像化するもの。
アルツハイマー型認知症では、神経細胞減少により大脳の糖代謝が低下する部位が見られる。
※フルオロデオキシグルコース(FDG)
アミロイドPET
老人斑に蓄積するアミロイドβ蛋白を画像化する。
高感度で特異性が高い。
⑤ 脳脊髄液検査
タウ蛋白
タウタンパク質は、非常に可溶性の高い微小管結合タンパク質 (microtubule-associated protein, MAP) である。
ヒトでは、これらのタンパク質は大部分が神経細胞にみられる。
タウの主要な機能の1つは、
軸索の微小管の安定性の調節である。
タウはチューブリンと相互作用して微小管を安定化し、チューブリンの微小管への重合を促進する。
タウには、アイソフォームの変化とリン酸化という2つの微小管の安定性を制御する2つの方法が存在する。
アルツハイマー型認知症では、タウが異常なリン酸化を受けて、微小管と結合出来なくなり凝集体を形成する。
これが神経原線維変化である。
細胞内のこの凝集体は神経細胞死に伴い、細胞外液中に遊離し、さらに脳脊髄液腔へ拡散。
したがって、脳脊髄液タウとリン酸化タウは神経細胞死のバイオマーカーとなる。
脳脊髄液タウとリン酸化タウはアルツハイマー型認知症では
上昇する。
脳脊髄液
アミロイドβ42は低下する?
アミロイドβって蓄積するんじゃないの?
( ̄◇ ̄;)
アルツハイマー型認知症では、発症する約 20 年も前から大脳にアミロイドβ蛋白が蓄積します。一方、髄液中ではアミロイドβ42 蛋白が低下し、これを検出することで発症前診断が可能です。しかし保健適応はありません。あくまでも研究上の分類ですが、髄液のアミロイドβ42 が低下し、
ほぼ臨床症状がないものをpreclinical AD
と呼び、
MCI stage のあるものをMCI due to AD,
そして発症したものを AD dementia
と呼んでいます。
この辺がよくわからなかった!
脳にタウやらリン酸化タウが溜まるから脳脊髄液
タウも上昇!!
脳にアミロイドβが溜まるのに、なんで
アミロイドβ42は低下?
まだ、保険適用されてないので、よく分かってないのかもしれない。
( ̄▽ ̄)