〈 問題 〉
次のことばから
その人の印象を述べてください。
❶
知的な
腕が立つ
勤勉な
暖かい
テキパキしている
実際的な
注意深い
比較的に
「 良い 」
印象を持ちませんか?
会社の上司とか、
こんな感じなら良いと思いませんか?
では、コレはどうでしょう?
❷
知的な
腕が立つ
勤勉な
冷たい
テキパキしている
実際的な
注意深い
この人が上司だと
なんか
厳しそうですね。
実は
❶と❷の違いは、
「 暖かい 」か「 冷たい 」か
だけです。
「 暖かい 」= 「 寛容 」
ととられているひとが
多いみたいです。
コレはどうでしょう?
❸
知的な
勤勉な
強力な
批判的な
頑固な
嫉妬深い
能力があるけど、少し欠点がある?
って感じですかね?
じゃあコレは?
❹
嫉妬深い
頑固な
批判的な
強力な
勤勉な
知的な
欠点がありすぎて、能力が発揮できない?
実は
ことばの並びが
逆なだけです。
鬼灯さん。理想の上司?
(2)印象形成
私たちの対人認知のパターンそのものに内在するスキーマもある。
アッシュ(Asch, 1946)は、ある人物の性格特性を記したリストを実験参加者に呈示し、その人物に対する印象について質問した。
ある実験参加者グループには
「知的な·腕が立つ·勤勉な·温かい·テキパキしている・実際的な·注意深い」
というリストが与えられ、また別のグループにはこのリストのうち
「温かい」に代えて
「冷たい」「礼儀正しい」「無遠慮な」のうちいずれかひとつの特性を入れたリストが呈示された。
そしてそれぞれの参加者は、リストになかった他の性格特性語がその人物に当てはまるかどうかを判断してもらった。
この2つのグループが形成したイメージを比較してみると、「温かい」と「冷たい」という特性語が、その人物への印象を作り上げる際に、他の特性語よりも強く作用していることがわかった。
すなわち「温かい」「冷たい」という特性語を中心として、他の特性語が意味づけられ、全体的な印象が形成されていたのである。
たとえば、「温かい」 という特性語を含めて提示された群のうち91%もの人が、もともとはリストになかった
「寛容だ」
という特性語をその人物の特性として評価していた。
これに対して,「冷たい」という特性語を含めて提示された群では、「寛容」という言葉を選んだのは9%にすぎなかったのである。
このように「温かい」「冷たい」というような、印象形成で大きな影響を及ぼす核となる特性は「中心的特性」と呼ばれる。
中心的特性いかんで意味が違って解釈されるその他の特性は「周辺的特性」と呼ばれる。
他にもアッシュは,「知的な·勤勉な·強力な·批判的な·頑固な·嫉妬深い」というリストを呈示されたグループと、同じリストを反対の順序で呈示されたグループを比較して、性格特性の呈示順序が印象に及ほす効果を検討している。
その結果、
望ましい特性が先に呈示されると、
「多少の欠点はあるが、能力のある人」という全体的印象となるのに対して、順番を逆にした望ましくない特性が最初にくると
「能力が他の欠点のために発揮できない人」という印象になることがわかった。
( 人格心理学 大山泰弘著 参照 )
ことばの
選び方、
使い方、
並べ方、
で
随分とイメージは変わるものです。
ご注意下さい!